如月

2月は如月。

今年は久しぶりに降雪もあり寒さの厳しい如月となりました。

新型コロナウイルス蔓延防止措置も延長となり厳しい日々が続きますが、皆さま、なにとぞお健やかな日々をお過ごしください。

 

如月15日はお釈迦様の涅槃会で有名ですが、浄土真宗においては如月には7日が大切な日となります。2月7日は九条武子さまのご命日であり、如月忌として法要が和田堀廟所でおつとめされます。

九条武子さまは、明治20年10月20日本願寺21代ご門主明如上人の末娘としておうまれになり、「金鈴」「白孔雀」「無憂華」などの歌集を出版される歌人として活躍されました。

一方で1923年9月1日の関東大震災に自らが被災する中で、負傷者・孤児の救援活動などの被災者支援を積極的に行われました。その後「病める人の母となり友となって施療とともに精神的な安らぎを与えること」を理念に掲げて、あそか病院を開設されます。その他にも仏教婦人会の設立、関東大震災によって全壊した築地本願寺再建、さらには京都女子大学の設立にも尽力をされました。

 

武子さまは、ご臨終に際しての義兄木辺孝慈氏(錦織寺第20世)のご法話

 

「最早この世の人としてはお別れせねばなりませんが、どうぞお慈悲にすがって、お浄土におまいりなされますように、次に起こすは還相回向のはたらき。どうか再び娑婆世界に還って、弥陀大悲のおいわれをお伝えなさるやう。

ご開山親鸞聖人はご和讃に、

安樂浄土にいたるひと、五濁悪世にかえりては釈迦牟尼仏のごとくにて利益衆生はきはもなし

と仰られておりますから、あなたもどうそ、お釈迦さまの通りになって還ってらっしゃい。お待ち申しております。」

 

のことばに、「また来ます。」と一言答えられたのだそうです。

 

日々の生活においては、自らなかなか合掌を出来ない私が、如月忌のご縁で手を合わしお念仏を申させていただくことを省みて、武子さまの還相回向と味わうことでした。

 

*他の宗派における「回向」は亡くなられた人にお経をあげることを言います。

しかし浄土真宗では親鸞聖人は「回向は、本願の名号をもて、十方の衆生に与えたまふ御法なり」つまり、私たちを救わずに居れない大きくあたたかな阿弥陀さまのおはたらきとお示しくださっています。