本願寺新報より ~赤光白光~

春のお彼岸も過ぎ、桜が満開となりました。

新年度が始まり、入学、入社を迎えられるご家族もいらっしゃることでしょう。

お祝い申し上げます。

この新年度は私たちにとっても特別な年に当たります。少々長いのですが、以下の本願寺新報より抜粋をお味わいいただければと存じます。

 

~赤光白光~

桜春と呼ぶにふさわしい景色が広がっている。学校や職場では、新しい年度がスタートした。今年は私たちにとっても、特別な年に当たる。紅葉の便りが届き始める10月から、伝灯奉告法要がつとめられるのだ。宗門の各部署では着々と準備が進められている。

一方、世界に目を転じると、地球規模で人々の心に暗雲が立ち込め始めたと言われる。泥沼化した中東地域での紛争が、各地へ拡散しているためだ。お彼岸の最中にはベルギーで同時テロ事件が発生したが、空港や地下鉄で犠牲になったのはすべて一般市民、巻き添えをくった日本人も負傷している。どこにいても安全は保障されなくなった。

日本は表面上平和だが、高齢社会の進行、地方の過疎化、経済格差の拡大と心配の種は尽きない。しかし私たちが生きる娑婆世界とは常にそうしたものだ。いつの時代も、さまざまな課題を抱えながら歩んで行くしかない。親鸞聖人が生きた鎌倉時代初頭も、歴史の転換期で、多くの人々が過酷な生活を強いられていた。

人々が、明日の命にも不安を感じているような状況の中で、親鸞聖人は念仏往生のみ教えに到り着く。そしてその法灯は、750年以上にわたって受け継がれて来た。今日の私たちには、次の世代へそれを橋渡しするという重い責務が課せられている。伝灯奉告法要を通して、一人一人が、お念仏の輪を広める活動を着実に進めていきたい。