浄土真宗ここが疑問:「天国」ではなく「浄土」

夏休みを迎えたお子様、お孫様方は、それでも元気に駆け回っていることでしょうが、ここ連日の暑さは堪えますね。

くれぐれも体調にお気を付けご自愛ください。


日本で用いられている「天国」は、雑多な来生観にもとづく言葉です。

もともと仏教でも使われていた用語で「神々の国」を指しますが、そこに神道の「死者の国」や儒教の「天」といった概念、さらにはキリスト教的イメージが混入しているように思われます。


浄土真宗では、帰る世界があって、そこが「お浄土」と呼ばれます。

お浄土とは、私が仏と成るために行く世界であり、「お浄土へ往生させていただく」と表現されます。お浄土は「すべての人がさとりを開いて仏となれる願い」によって成り立っている世界であり、仏道を成就するための世界です。


そもそも宗教はこの世界を超える価値体系をもっています。この社会と別の世界を説いてこその宗教であり、だからこそ私たちは救われるのです。しかし、それはその体系を歩んでこそ出逢う世界です。

死んだらそれまでと考えて生きている人と、息をひきとればお浄土へと帰らせていただくという道を歩んでいる人とはやはり違うはずです。


浄土真宗のみ教えをいただくということは、帰るところのある人生を生きることです。

つらいことや苦しみ、悩みをたくさん抱えながらも、お念仏とともに日常を生きる者のための仏教が浄土真宗です。

私たちは無条件に受けれ入れてくれる世界があるからこそ、苦難の人生を生き抜くこと、そして死にきることもできるのではないでしょうか。