親鸞さまの教え~悪人正機~

梅雨入りの早い今年ですが、少雨のまま、そして境内にはおよそ半月は遅れたサツキが咲いております。気候の有り様がおかしい感じがしますね。体調を崩されていらしゃる方も多いのではないでしょうか?

まだ二人の子どもがいた頃(上の娘は現在東京暮らしです。)、一人が体調を崩すと、どうしても具合の悪い方ばかりに気がいったものです。このような状態を、たとえて説かれたものに、悪人正機があります。

 「悪人正機」とは、「悪人こそが阿弥陀如来の救いの本当のめあてである」という意味で、阿弥陀如来の慈悲のこことを表す意味です。

阿弥陀如来は、平等の慈悲心から、すべての生きとし生けるものに同じさとりを開かせたいという願いを発されました。だからこそ、この慈悲のこころは、今現に迷いの中で苦しんでいるものに注がれているのです。ですから、「悪人正機」という言葉を聞いて、悪事を犯してもかまわないと開き直ったり、悪いことをしたほうが救われると考えるのは、誤った受けとめかたです。

 経典には、如来の慈悲が、<病に苦しんでいる子に注がれる親の愛情>にたとえて説かれています。親鸞聖人は、このような阿弥陀如来の慈悲に出遇い、その慈悲が注がれているのは、他でもない煩悩に満ちあふれた自分自身であると受けとめられました。

 私たちは毎日いろいろな生き物のいのちを奪いながら生きています。まためぐり合わせによってはどんな恐ろしいことでもしてしまいます。このような私の姿に気付かせ、同時にそのまま救い取ってくださるのが阿弥陀如来の慈悲であり、そのこころを表すのが「悪人正機」という言葉です。

                                         教学伝道研究センター伝道社会部 

                                           「親鸞さまの教えって何?」参照