親鸞さまの教え~他力本願~

 「他力本願」という言葉は、浄土真宗において、み教えの根幹に関わる最も重要な言葉です。

 親鸞聖人がいわれた「他力」とは、自然や社会の恩恵のことではなく、もちろん他人の力をあてにすることでもありません。また世間一般でいう、人間関係のうえでの自らの力や他の力という意味でもありません。「他力」とは、そのいずれをも超えた、広大無辺な阿弥陀如来の力を表す言葉です。

 「本願」とは、私たちの欲望を満たすような願いをいうのではありません。阿弥陀如来の根本の願いとして「あらゆる人々に、南無阿弥陀仏を信じさせ称えさせて、浄土に往生せしめよう」と誓われた願いのことです。この本願のとおりに私たちを浄土に往生させ、仏に成らしめようとするはたらきを「本願力」といい、「他力」といいます。

 私たち念仏者は、このような如来の本願のはたらきによる救いを「他力本願」という言葉で聞き喜んできたのです。ここにはじめて、自らの本当の姿に気づかされ、いまのいのちの尊さと意義が明らかに知らされるのであり、人生を力強く生き抜いていくことができます。

                                    参考文献「親鸞さまの教えって何?」

                                    教学伝道研究センター・伝道社会部